
──パラダイムシフトだ──
いえ、曖昧なカタカナに逃げるのはやめますね
そう、日本語でハッキリ書けば
『常識がひっくり返っています』
ヘッドホンは
fostex th1000rp mk2 / th1100rp mk2以前か以降になるでしょう
もうどうしようもない 小手先でどうにもならないと
経験と勘が訴えかけて来るのです
こんな言葉が頭に浮かんではずっと消えません
王の帰還 そう 王が帰ってきたのです
『ふざけるな…w』音だしした瞬間に笑いながらそう呟いていました
『…ウソだろ…』
瞬時に悟る完敗宣言
これはどんなに情緒でコントロールしようとも生理的な反応で笑っているので、簡単に云えば「言葉にならない」そのものです
感覚を思慮で分析し、情緒やポエムを重ねればそこに人の意識が宿り嘘や夢になりますが、生理的反応だけはウソのつきようがありません
「これは圧倒的にすごい」
そう判断した脳が勝手に笑みをこぼさせていました
何のヘッドホンを聴いてるのかわからなかったのです
どこのなんていうメーカーのヘッドホンなのか分かりませんでした
ヨーロッパ?アメリカ?中華?日本?だいたいお国柄や人柄という大事にしている文化の価値観が円熟したものが音としてなんとなく出てくるのですがそれすらもわからない
金属振動板なのかコーティング系なのかフィルムなのか樹脂なのかそれも判別できません
駆動方法ですら一聴ではわからないのです
音楽信号が脳に直結したのか
一瞬、確かにそう思ってしまったのです
混乱していますが混乱したままでは惜しい、だから出来る限り分析を試みることにしました
矩形波のピン角がでている
立ち上がりに濁りなく瞬発力がある
音の最大値でオーバーシュートせず暴れない
音が止まるところで正確に収束する
空間に伸びる余韻のグラデーションが滑らか
地を這うような低音をいれても過不足がない
もうこの時点で付帯音が一切ないことがわかるのです
濁りがない 膜がない
細かい音が潰れずに再生される
インパルス応答に正確で
圧倒的に速く
既知を超えて均一で
精緻で
滑らかで
尖った音は尖る
これが解像度なのだと
ここから初めて本気の解像度たる粗密を語れるのだと
この本気の解像度のスタートラインへの到達が圧倒的に簡単だったのです
最低限の環境下でいきなり「正しく」或るのです
70年代の左右セパレーションがハッキリした、いかにもステレオという録音を聴くと、左右の定位は完全にハウジングの外から音がするように聞こえます
papa was rolling stone / Gene Ammons
開始3秒でドラムのアタックが胸に詰まるように迫り来ます
ah-leu-cha / Miles Davis・John Coltrane・Cannonball Adderley・Thelonious Monk Quartet
音の抑揚感も過不足なく、平坦でつまらない音になっていません ギターを爪弾く指先は追えます
The Heart Asks Pleasure First / Panagiostis Margaris
小さな音の爪弾きも余韻も拾えています
calling you / 村治佳織
ちょっと主旋律にフォーカスしすぎかと思いましたが、さすがに上流の再生環境が音楽の表現力に足りておらず、再生側(上流側)の責任でしょう
Cello Suite No.1 Prelude / Yasuaki Shimizu & Saxophonettes
以前、T60rp mk2 aiは既存のRPを超えたと書いたことがあります
その音からはRPだろうとダイナミックだろうと、発音体の音がしているうちは音のクセを楽しんでいるだけなのだそれを脱却するのだという、音への真摯な向き合い方を受け取りました
音の信号を正しく振動にしていなかったのだと云わんばかりの境地に達したような情念を感じたのですが
理念からついに革命が起きてしまったのです
コレが答えなのだと
先に書いたとおり たったの一瞬でもその音は
脳に直結したのか?(そんなバカな)と感覚を混乱させるに充分な一撃でした
『ふざけるな』
なぜか?それはiPhone7+直結で聴いた感想だからです ここまでの感想はiPhone7+直結の感想です
成り立たないことが 成り立ってしまいました
駆動方式について
元来、平面駆動型は歪みが少なく均一で反応も速く細かく端正な音を奏でるとされてきました
理論上は
理論上はと云うのは「ほぼそんなモデルは無かった」なと所有する数々の機種がそう示唆しています
コイルパターンが張り巡らされた振動板は「理論に及ばず」均一な振幅をできずに濁り(立ち上がりの鈍さや過度な余韻)を生み
反応を整え速く濁らない音にするためには、能率が低いので選び抜かれた強力な据え置きアンプを用意し、充分な電流の供給を要求されました
また磁力を増すことで振動板を前後に強烈に動かすことが必要になりますが、今度は磁石が振動板から出る音の障害物になり、こもりや煮え切らない膜のようなものを付帯させたりします、空気流路を妨害するのです
生まれ持った制限として前後に磁石を貼り付けたケースの中に振動板があるために可動域に最初から限界があり、振幅ストロークが必要な低音は稼げなかったのです
稼げない低音を補うために振動板面積を増やすと、また振動板の能率は落ち、電流が必要になり、それが供給できない場合にまた濁りたる「付帯音」を産みました
さらに振動板面積が大きくなればなるほど重くなり、ヘッドフォンの重量は500gをゆうに超えてしまったのです
そして「平面駆動型は歪みが少なく均一で反応も速く細かく端正な音を奏でるとされてきた」にも関わらずほぼそんなモデルは存在しなかったのに身勝手な解釈を捏ねくり回し、平面駆動は押し付けがましい圧力がなく余韻が美しい音であると思われてきたのです
違う、それは元来平面駆動が目指した音ではなく平面駆動が超えたくても超えられなかったクセを個性として好意的に受け取り解釈し、その解釈をさらに人の心に響くように整え醸成できるようになり「再生芸術」に進化していったと捉えるのが現状だと思います
ですが矩形波を聴けば瞬時にわかります
それは汚点を苦心により美点に転化させ
技術により昇華させたのだと
もちろん美点に昇華された個性が「好き」というなら不可侵であるので「人の好きを誰も踏み躙ることはできない」と断言するのですが、それが尺度を変えて「正しいのか?」と問われた場合、今の私なら「正しくはない」と断言できてしまいます
※かく云う私も平面駆動型は各社相当数を所有しています
心がより音楽を感受性高く受け取れるような平面駆動が産み出す「香り」ですら、機械により付け加えられたものという他はないのです
振動板方式のあり方
それぞれの振動板形式にはメリットがありまたデメリットが内包されているのは諦観としての現実です
東から登った太陽に難癖をつける者などはおらず「それはそう云うものだ」と当たり前として捉えているところでもあります
・ダイナミック型は迫力があるが細かい作動(解像度を出すの)は難しくエッジを描きがちとか
・静電型は細かい音の再生(解像度)では他に類を見ないが迫力が乏しいとか
・平面型は過剰な圧を生まず優しい聴き心地で余韻が美しいものだが抑揚感なく曖昧になりがち
と
「好き」という解釈であればそれは本当にお好みでというお話しだと思いますが、「正しいか否か」という解釈に沿うなら「全て間違っている」という判断になります
振動板方式に沿った音がする時点で音=再生ではなくなっているので1=1からはほど遠くなっています
実際に1=1など現実的には不可能であったとしても1≠1に限りなく近づけることが正しさを求めるなら必要なのではないかと思っています
人が感銘を受け心に沁み入る「再生芸術」とは全く異なる考えかただと思うのです「正しい音を再生する」のは
もちろん全く異なる考えかたであっても、それを「どちらが上回っているのか」などと殴り合う道具にしてはいけませんし、土俵がちがうのではないでしょうか
スピードスケートとフィギュアスケートのどちらが優れているのかを語るくらいに論点が噛み合わない事だと思うのです
優れているかではなくカテゴリーが違うのではないでしょうか
それは互いに反発しあうことではなく、互いに敬意を表し刺激しあう技術と聴き方の進化のあり方だと思います
今まで「再生芸術を極めるために醸成してきた平面駆動型」は様々に存在してきましたが「正しさを極地まで追い込めた平面駆動型」は数えるほどしか存在しなかったと思っています
※手前味噌ですが「正しさ」で過去に私が携わせていただいたヘッドフォンも平面駆動型でしたね
そんな数多ある平面駆動型の中でも「真っ正面からついに超えてしまった」と認めざるを得ないのがth1000rp mk2/th1100rp mk2なのであると
多角的にみてそう判断せざるを得ないからこそ『…ウソだろ…』と笑みが出てしまうのです
正しさを極地まで進めるともはや「振動板形式」の音は消えてなくなりました
もちろん今までにも平面駆動型を工夫で超えてきたと強く心に刻んできたものも存在しました
空気の粘性を用いたエアフィルムダンピングシステム(AFDS)のD8000の系譜はまさに平面駆動型の未来を射貫いた鏑矢であると信じていますし、そのあとのYH 5000SEの系譜とて目指すべく進化をした果てに、魚類であるサメと哺乳類であるイルカがあの紡錘形の流線型になっていったように、円型の平面振動板に空気と粘性を用いた流量コントロールに行きついたのは収斂進化だと思っています
ただ今回の平面駆動型はもっと正面突破だと思います
他社のような発明や概念から見直した平面駆動型ではなく
今まで培ってきた平面駆動型の原理に忠実 かつ直接的に高めていった技術が突破した先に生まれたものだと思います
他社とは異なる愚直なまでに伝統の四角い平面振動板にプリントされたコイルは、過去に見たことがないほどエゲツないほどの過密さと不要共振を抑えたパターンになっており
エゲツないほどの磁力を搭載しかつ偏りの無いものとしたという直球勝負に見えます

mk2化
2024年7月のイベントでその新型ドライバーを見たときに唖然とし、見ただけで期待が高まるその過密過剰な作りに心がおどったのを覚えています
そしてth1100rp(mk1)を聴いたときに確信したこともあります
「動きすぎて制御できていない」と
DAPの貧弱なアンプで音量が稼げる、これは今までとは訳がちがう、ちゃんと動くし眠い音をしていませんでした
ただ尖っていてピーキーで線が細くて暴れていたのをしっかりと記憶しています
それは仕方ないとも感じました
かつて1.5テスラを誇るth900もアンプが貧弱ならそう云う暴れた音を奏でたからです、また当時はそういう音が好まれてもいましたし、fostexがほぼ専用機として用意したようなHP-V8で駆動させれば素晴らしい抑揚と繊細さを兼ね備えた音を奏でてくれるのです
だからこそ「アンプを充てがえばth1100rpは見ちがえるように鳴るハズだ」と
久しぶりに御する試行錯誤に甲斐のある機種に出会ったと思ったものです
電流を焚べてやればストロークも安定し過不足ない低音を奏で、暴れた音をコントロールしてやれば如何様にも端正に落ち着かせられることもできると、その上でこの付帯音の無さと速さは、他の機種が簡単には到達できない生まれながらにしてのメリットであると思っていました それは宝石の原石に見えたのです
まだ乗りこなしていないヘッドホンがあるのでそれをクリアしたら、そのうちあのth1100rpという暴れ馬を乗りこなす挑戦をしてみたい、そう思っていてしばらく過ごしていましたら
mk2が静かにスッとリリースされたのです
そのmk2とてパッと見はリケーブルするのに汎用性が高くなった3.5mmモノラルになった程度の違いだろうと油断をしていたのですが
『fostex th1000rp mk2/th1100rp mk2以前か以降だ』と
スッと口から溢れでた感想に自分でも驚いているのです
こんなはずはないと、ですので
『ふざけるな…w』と音だしした瞬間に笑いながらそう呟いてしまったのでしょう
何が起きているのかわかりませんでした
ただどう上流環境を整えたとてth1100rpをmk2の基準に持ってくるのは並大抵のことではないのだと勘が悟ってしまったのです
ですので「小手先では到達できない」と完敗を覚えましたし、よもやT60rp mk2をメーカー以外の者がどんな化け物じみたチューニング施したとてth1000rp mk2/th1100rp mk2の基準に持ってくるのは不可能だと肌感で理解してしまいました、T60rp mk2の延長にth1000rp mk2/th1100rp mk2は居ません
スポーツカーをターボ化しても、メーカーがだしたハイパーカーやホンモノのワークスマシンにはなれないのです
また、なれないのが当たり前なのです
生まれの基準が違いすぎます
メーカーtunedであるT60rp mk2 aiとth1000rp mk2/th1100rp mk2を比べてみても、市販車ベースにワークスの技術が注がれているのと
制約のないプロトタイプワークスマシン直系ほどに違いすぎますし生まれが異なりすぎるのです
以前、T60rp mk2 aiに足りないものを上級機が覆す面目躍如なのではないか?それこそドライバーサイズによる音の密度ではと想像したことがありましたが、そんなレベルではありません
骨格(基本骨子)から目指すところが違うというほかありません
何が『…ウソだろ…』と畏敬の念を感じたのか
色々鑑みて思ったことがあります、このmk2は『過剰な電流を必ずしも要求してはこない』のです
きっとmk1は予想の通りに『電流を必要とするだろう』と思われます、あの暴れ方に尖り方に細さは今まで何度も出くわしてきましたし、それを何度も手中に収め「御す」ことを「メーカーですら想像だにしなかった性能の開花」だとして面白いとすら思っていたのですが、mk2は過剰な電流を必要としていないのです
あのピーキーで見た目から想像するに過剰な性能を与えられた平面駆動型の空気流量を制御することで過剰な電流すら必要ないとした極地に到達してしまっているのだと思います
エゲツない過密な迷路のようなコイルに
エゲツない磁力という基本性能が
簡単に動きすぎ暴れるほどの基本性能を与えられたからこそ、電流を注げば解決できるというマッチョな思想を過去のものと払拭するように、スマートな解決策として空気流量を制御することに技術が注がれているのだと直感しました
だからiPhone7+直結の3.5mmのか細いアンプからの出力で基本的な作動にはほぼ足りてしまうのでしょう
これはもう完全に過去との決別であり
産み出したスサノオのごとき荒ぶる神のようなmk1をmk2で完全に鎮めコントロール下に置いてしまったのです
これが『…ウソだろ…』と瞬時に悟ったことを言語化した内容になります
荒ぶる神のようなドライバーに自由と可能性を見いだすのであればmk1の選択になり宝石の原石です、そしてmk2は荒ぶる神を鎮めた宝石だと思うのです
ではmk2には可能性は無いのか、次に据え置きアンプを交えた感想を述べてゆきます
『…ウソだろ…』の次へ
わが家にある据え置きアンプでバランス機に引けを取らない余裕さを持つシングルエンド専用機(goldmund THA・tu 8600R+プリ通信管+出力管97年we 300B)や、バランス機のバランス出力においては、意表を取られたiPhone出力をやはり全てにおいて上回ってきます
基本的な性能が豹変するとまでは言いませんが、音に実体や中実といったトルクを感じるようになります
これは単に重さという鈍重なイメージではなく、ピンポン球とゴルフボールを同じスピードで投げたときにどちらがより中身が詰まっているのかのようなイメージが近いです
面白いのがバランス機のシングルエンドで出力しても想像より向上しないか、むしろ「あれ?悪い?」とすら頭をひねることがありました(シングルエンド専用機では起きませんでした)
シングルエンド出力では飽和してしまうようなイメージです、これがスルーレート2倍のバランス出力だと明らかにシングルより「良く」なるというのはまだ理解が追いついていませんが、mk2を理詰めしてゆく可能性という余地は残されています
むしろ据え置きでしかできない部分として、音楽に宿る表現力の多彩さを上流環境で引き出してきて、音楽そのものに感銘をうける、細かなセッティングにも実に追随してくれます
特にniimbus US5 proバランス出力でのチップチューンは、超高速の音に実体や重さが付加されてキレ…というよりは実体が消えて無くなったあとまた現れるというようなワープのような異常ともいえる音をだしてきます。現時点でおそらく最速クラス、この速さはアルミリボンに匹敵していると思われます
ただしエッジを出しがちなので、より繊細な音の細かいニュアンスすらも表現しつつも、音に一辺倒にならない様々な重さも持たせて、前後の距離感の不揃いさを表現し、鮮やかさと生気を感じるなら
jeff rowland coherenceからREC OUTで繋げた
・luxman p100 centennialのバランス出力
・fostex hp-v8のバランス出力
・releaf e1のシングル出力
この辺りの機械だとエッジをさらに細分化したうえに見えてくる高精細な音の解像度たる『粗と密』というものが見えてきて意識を俯瞰すれば『粗と密』から構成された『波』そのものを意識しやすくなります
また上流のプリアンプの性能差における表現の違い(肉厚で速いのか・精緻で理路整然なのか)も部屋に比べて圧倒的に狭い空間であるヘッドホンの空間の中で構築し表現をしてきますし、DACの違いにも定位や音楽表現の奥深さにおいて差を表現してきます
アップサンプリングやハイレゾが確かに情報量多く感じられるのです
例えば叩かれたシンバルは今までは輪郭が朧げになり霧散して消えてゆくものだと思っていましたが、シンバルという線が均一に小さく減衰してゆく感じは初めてで、この辺り「向こうが透けて見えて消えてゆくような音の推移」では全くなく「細かい音の粒子のようなものが小さくなってゆく」というまるで異なるイメージを抱きました
音の枝葉末節までしっかりとした実体があるのです
以下にシングルとバランスの対比を残しておきます
メモより生の抜粋なので少々見づらいかもしれません
特にマイナス部も書いてありますがかなりシビアに鑑みてのマイナスなので言葉ほどマイナスではないです
※releaf e1についてはシングル出力のみになります
The Heart Asks Pleasure First / Panagiostis Margaris
niimbus US5 pro
シングル:正確無比なギターが追えるが生命感に乏しい
バランス:いきなり見通しが良くなる ギターの胴鳴りも見事 生命感も良く出る
fostex HP-V8
シングル:指先よりは弦の響きや胴鳴りの表現に豊か
バランス:文句のつけようがない 弱音 生命感 抑揚 表現力に打ち震える
releaf e1
シングル:指先は見えない 音の繋がりはかなり良い ダイナミックレンジが広く抑揚感あり
luxman p100 centennial
シングル:音を俯瞰して見るよう 統制がとれてる
バランス:俯瞰しながらも全く過不足ない 生身すら感じる
Ah-Leu-Cha / Miles Davis・John Coltrane・Cannonball Adderley・Thelonious Monk Quartet
niimbus US5 pro
シングル:定位が正確無比 セッションのego感は控えめ
バランス:セッションのライブ感が良く出る 抑揚がいい
fostex HP-V8
シングル:華やかさがあり他の奏者より前に出ようとするセッションのegoが良く出る
バランス:統制されたアタック感を出しながらもライブ感をよく出す
releaf e1
シングル: 音の揃う瞬間のアタックが胸にグッとくる 圧力のようだ セッションのライブ感もありつつ 音の統制が取れている
luxman p100 centennial
シングル:俯瞰している 統制がとれている 冷静すぎるか?
バランス: 空間を俯瞰する感じながらも熱さが失われていない
Protection / Massive Attack
niimbus US5 pro
シングル:低音の滲みが減る 密度があがる
バランス: 低音の滲みがないまま密度を伴った個体を感じるようなソリッドさ ダイナミックレンジが広い
fostex HP-V8
シングル:低音は滲まないまま密度とダイナミックレンジが増える
バランス: 広いダイナミックレンジの中を、緻密なグラデーションをしながら力強い低音がうねるようだ
releaf e1
シングル: 低音に実あるソリッドな感覚 レンジは広いが低音の滑らかさは抑えめ
luxman p100 centennial
シングル: 低音しっかり出てはいるが思ったほどのダイナミックレンジはない
バランス: 塊感のある低音の沈み込み 滲みはないがレンジはほどほど
Nuno / Prefuse73
niimbus US5 pro
シングル:正確だが抑揚感が思ったほど足りず平坦
バランス: 瞬発力もカットも最速 実体を伴ったワープ感
fostex HP-V8
シングル: キレの正確性よりも弱音をよくだす
立ち上がりは相変わらず速い ほんの少し華やか
バランス: 立ち上がり瞬間 収束も正確でカットよくでる 華やかながら実体がある 消え入りまで弱弱しさはない
releaf e1
シングル: 角が丸い
luxman p100 centennial
シングル:瞬発力良い 急峻なカットはしていない
バランス: インパルス応答に正確 抑揚少し平坦か
calling you / 村治佳織
niimbus US5 pro
シングル:ギターの弱音の際立たせ方はうまい
バランス: 抑揚も充分 弱音もうまいが 若干エッジを感じる 空間ノイズは削いでる
fostex HP-V8
シングル: 空間まで含めた弱音の再生は素晴らしい 響きもよく出す
バランス: 指先 弦 胴鳴り 空間に満ちる細かな音 リアルであり奥行きがある 人間の大きさまで想像可能
releaf e1
シングル: 綺麗だが上手に丸められてる感じ
luxman p100 centennial
シングル: 指先のイメージと弦の響きにおいてどちらも抜かりない
バランス: シングルのイメージのまま音に中身が詰まる
releaf e1については3ピンXLRのバランスケーブルを用意する時間がなかったのでシングルでしか試せていないのですが、今回あらためて思ったのは過剰な電流を要求しない機種には電流駆動(カレントドライブ)の面目躍如を感じました
繋げる機種において一筋縄ではいかないところは変わりませんが電流駆動でしか到達し得ない世界が確かにあります
それではth1000rp mk2 / th1100rp mk2 それぞれの
密閉型と開放型の違いについて踏み込んでみたいと思います
アンプは良い印象を持ったfostexHP-V8とluxman p100 centennialをともにバランスで試した中から総評としてメモ書きしています
th1000rp mk2(密閉型)
iPhone7+において
・収束が正確に決まるのは密閉型
・冷静なのは密閉型
・音の枝葉末節まで曖昧にしないのは密閉型
・滲みない低音を統制するのは密閉型
fostex HP-V8 およびluxman p100 centennial バランス
Tom's Diner / Suzanne Vega
密閉型のほうが実は僅差で正確
Killing Me Softly With His Song / Roberta Flack
正確で冷静
All Summer Long / 神保彰
押し出しが正確 絶対暴れない
The Heart Asks Pleasure First / Panagiostis Margaris
収束が速い ギターは密閉型のほうが正確
Cello Suite No.1 Prelude / Yasuaki Shimizu & Saxophonettes
ミキシングに正確なので主旋律だけ前にでない
Nagoya Marimba / Steve Reich
定位の立ち方は明らかに密閉型
Spanish Harlem / Rebecca Pidgeon
音像がより正しいのは密閉型
Trouble in Mind / Barb Jungr
緻密な演出と演奏が上流環境に追随する
Beatrice / Robert Glasper
統制が取れていて音像が正確
th1100rp mk2(開放型)
iPhone7+において
・立ち上がりに速く正確なのは開放型
・抑揚感があるのは開放型
・ほんの少しだけ華やかなのは開放型
・低音が少し豊かなのは開放型
fostex HP-V8 およびluxman p100 centennial バランス
Tom's Diner / Suzanne Vega
開放型のほうがよりドラマチックか
Killing Me Softly With His Song / Roberta Flack
僅差で抑揚感がある
All Summer Long / 神保彰
押し出しが若干つよい ライブ感がある
The Heart Asks Pleasure First / Panagiostis Margaris
立ち上げが速い
Cello Suite No.1 Prelude / Yasuaki Shimizu & Saxophonettes
聞きごたえはあるが主旋律がたつ
Nagoya Marimba / Steve Reich
やはりライブ感やノリは開放型
Spanish Harlem / Rebecca Pidgeon
少し音像が大きい
Trouble in Mind / Barb Jungr
よりドラマチックな音の表現 声に色香などをだしてくる
Beatrice / Robert Glasper
ノリがよい
以上より、正確なのは密閉型のほうかもしれません、かなり分析的に音楽を聴き自分の感覚に潜れます
より質感的なのは開放型のほうだとおもいます、こちらも分析的に聴ける要所を抑えつつも気張らずに馴染みやすく思います
しかしながらこの密閉型/開放型の違いを言語化して表現するのはかなり至難でした
自分と音楽という対峙なら密閉型
自らの意識にダイブするなら密閉型
正しいのはおそらく密閉型
発音体がヘッドホンの外の空間に放散した部屋の空気感ともども耳が音楽をシームレスに受けとれるいうなら開放型
心が躍るのは開放型
音楽にひたりつつ聞き流すこともしたいなら開放型
2つある選択肢を一つに絞ってみようと思考実験をしてみましたがこれは困りました
さらに正確なほうと より心地よいほう
過去ここまで二者択一が難しい密閉型・開放型比べも珍しいのではないでしょうか?
今まではほぼ開放型のほうが正確だったのです
密閉型は低音を稼ぎやすいもののハウジングの音が乗ったり濁りがでたりするというジレンマがありました
盛った低音なら正確な方を選びたいので、二つあるなら聴いてみても「やはり」歴史的にも開放型のほうが正しくありました
ですがこの二機種に至っては「潜る」か「ひたる」か視点の違い、そして「冷静」か「情熱」
音楽を、俯瞰しながら 冷静なのは密閉型で
音楽に少し寄り 熱いのは開放型です
「好みで選べばいい」という思考停止に陥らずにその差異を言葉にするのはかなり難儀しました
99.99999%の純度を誇る導体 :7Nケーブル
fostexのフラッグシップにさらっと書いてある7Nケーブルですが、あまりにさらっとしか触れていないので「ふーんfostexこれ好きだなぁ」くらいに思われているかも知れません
実際にイベントでfostexのかたとお話しさせていただいても「8Nというのが昔は存在しましたからね、7Nなんてそんなに胸を張って云うようなものでは無いですよ」と謙遜されていました
いえ、謙遜ではなく本当に「こんなの今更自慢するのも恥ずかしい」くらいに思われておられるのかもしれませんが
99.99999%の純度を誇る導体の主な使用は、「極限の精度」や「微細な信号」が求められる、テクノロジーの最先端分野で活躍している素材であり、産業と科学の基幹部分を支える用途として使われています
①半導体製造のボンディングワイヤ
CPU やメモリなど、半導体チップ内部の非常に細い配線(ボンディングワイヤ)に使われています、回路がナノメートル単位で微細化しているため、わずかな不純物があるだけで電気抵抗にムラができたり、断線の原因になったりします
歩留まり(成功率)を上げるために、極限の純度が求められるのです
②スパッタリングターゲット
半導体や液晶パネルの表面に、銅の薄い膜を「蒸着」させる際の原材料として使われています
真空装置の中で銅のターゲットにイオンをぶつけ、弾き飛ばされた銅原子を基板に付着させる用途です
このとき原料に不純物が混じっていると膜の品質が均一にならず、デバイスの性能が落ちてしまうのです
③宇宙・航空・防衛分野
極限環境下での信頼性が求められる場所に使われています
宇宙空間のような修理が不可能な環境では、経年劣化の原因となる「不純物による腐食」を徹底的に排除する必要があるためです
④低温物理・量子化学
「超伝導」の研究や、量子コンピュータの冷却システムなど、特殊な研究施設で使用されています
絶対零度に近い状態で作動する装置の熱伝導体や配線などで使われており銅は純度が高ければ高いほど、極低温状態での熱伝導率と導電率が飛躍的に向上するため、熱を逃がしたり微弱な信号を拾ったりするのに不可欠になります
そんな99.99999%の導体ですが安定して製造・供給できるメーカーは、世界的に見てもごくわずかで安定供給できるのは三菱マテリアルくらいだと思います
過去には日立金属や古河も作れたかも知れませんがすでに撤退しているようです
何故撤退するのかといえば莫大な設備投資をしないと純度99.99999%の銅を精錬する専用設備が作れない、維持できないと云うのに加えて
本当に99.99999%の純度であることを証明するための分析装置が数億円レベルに及ぶからで、またそれを運用しながらも維持しなくてはなりません
こればかりは大手金属専用メーカーでなくては不可能なのです
その辺の導線に9Nとか8Nとかってシールやちょっといい箱をつけて QC(クオリティチェック)シートにおばちゃんがチェックマークだけ入れたようなアリエクやAmazonにヤフオクに転がってる『出所不明だけどきっと出所は同じ』という線とは全く明らかに出自が異なりますし
高純度導体が手に入らないケーブルメーカーが4N程度の導体を「特殊なミネラルブレンドを施した新しい導体です!」と喧伝するのともワケが違います
ワケが違うんです、人の生き◯にやインフラや先端化学や平和を維持する用途に使われるべく超真面目な希少素材を、趣味であるオーディオなんていう用途に使うことの圧倒的な贅沢さはもっと知られて然るべきだと思うのです
わりと大手国内メーカーは7Nグレードのケーブル採用例が多いので錯覚を起こしますが
・オーディオのためだけに7Nなんかはとてもじゃないが作れないのと
・むしろ超真面目な用途で使われている無くてはならない希少部材を
・無くなっても人が◯ぬことはないオーディオなんていう趣味のためだけに供給してくれる金属メーカーが日本に存在していて
・その金属メーカーは世界的にみても今ではココくらいしか安定製造できないとされる三菱マテリアルです
こう書けば「7Nふーん」が少しは重みを帯びてくるでしょうか?
『どうせ純度の違いなんかわからないからAmazonで売ってた¥3000の9Nでいいわ、使えないことないし』
それでも構いませんが騙されているような気がしてきませんか?
どうせわからない、それでも日本のメーカーの製品にさらっと書かれる7Nというケーブルの意味に私はメーカーの矜持と、金属メーカーとの折衝、そして安定安価で高クオリティな製品という関わった全ての人の苦労を偲ばずにはいられないのです
fostex th1000rp mk2/th1100rp mk2以前か以降だ
こう書いてからth910/th919を聴けてないのを思い出しつつ勢いが良すぎたかもと少々反省しつつも、2025年10月がヘッドフォンの次なるステージへの分水嶺として私の中に刻まれてゆくことでしょう
