MDR Z7のリペアをしておる、まずはイヤパッドから。シープスキンのが手頃にあったからつけてみたらなかなかええ感じ。

ヘッドバンドのほうもヒビ割れてきたからそのうち光城さんに送って仕立て直してもらいやんしょう。

実のところだいぶいつも使ってた相棒でもあるのじゃ。いま聞いてみてもへっぽんとはこう云うんでええんじゃという安心感のある音を鳴らしてくれよる。

解像度?それなり

バランス?ピラミッドバランス

どのアンプに繋いでもZ7であることは譲らんのじゃが、乳化しているというか口当たりが優しい感じ。

シリアスでないのが悪くありんせん。

へっぽんというものが単体で勝負を挑んでいた最後の時代の名機じゃろう。

10年くらい前になるのじゃろうかな。

「ありがとうの」という感慨もあってリペアをしておるのじゃが、確実に失われゆく前に手を出して動体保存のターンに入った感じかの。

 

そう、確実に失われゆく。

 

Pioneer 2015 se master1

fostex 2016 th900 mk2

Technics 2016 eah t700

SONY 2016 MDR Z1R

ゼンハイザー 2018 HD820

DENON 2018 D9200

ultrasone 2019 Edition 15 Veritas

ベイヤー 2020 T1 3rd

コレだけの老舗と名門がフラッグシップ更新の足を止めてしもうた。現行品とあっても終売宣言しとらんだけのものもありんす。

 

th900 mk2

MDR Z1R

D9200

T1 3rd

これくらいじゃなかろうか、名門のフラッグシップがまだ新品で手に入るのは。

2020年初頭までがピークじゃったと思うておったが、実のところ2018年までが百花繚乱じゃったんじゃと思う。

出しても売れない?いやフラッグシップってえのはそのメーカーの威信をかけた文字通り技術の粋を披露するもんじゃから売れる事なんてハナから考えておらんじゃろう。クルマ買う人が全員NSX欲しがらんじゃろ。

ふつーの人が出してもいいと思う価格帯のものを沢山売るのがふつーじゃからな。

もちろんフラッグシップじゃ。真摯なメーカーであれば開発期間もかかりんしょう。5年や6年かかるものもありんすな。じゃが2018年からすでに5年経ち、状況は次世代機の更新はおろか現行フラッグシップとは名ばかりの静かな終売にいたっておる。

現行フラッグシップとして名を残しつつ、もはや生産すらしておらんのじゃ。

これを肌身に感じるに、完全に潮目が変わった。波は凪になったと思うておる。

あんまこういうの冷める要因になってもイヤじゃから云わんとことは思うておったのじゃが、ゼンハイザーがコンシューマーから撤退した辺りから実のところ確信しておった。

コレからもスゲーのは出るじゃろう「ガレージメーカー」から。

「ガレージメーカー」の製品は一握りの卓越した感覚と設計能力を持った天才が「エゴを剥き出し」にしたスゲー製品になるのに対して

「メジャーメーカー」の技術の粋と数多の天才がよって集まり最先端かつ「卓越なるバランスを達成」した製品になるのが違いじゃが

アーティストとアルチザンの違いかもしれぬの。

どちらもわっちぁ好きじゃよ。矜持がありんす。

じゃがどちらが欠けても良いというわけではありんせん。アルチザンの技術の上にアーティストのセンスは花ひらくし、アーティストのセンスによりアルチザンの技術はより高みに達するのじゃから。

片方が欠けたらそれはなしえん。

ガレージメーカーのドライバーはメジャーメーカーのOEMである事が多い。安定して生産するのが難しいからの。じゃがメジャーメーカーがガレージメーカーの要求するドライバーを作るのを断った場合。ガレージメーカーの悲願は達成できんじゃろう。もちろんそれはドライバーだけに限らぬ。

 

オールドスクールなへっぽんはシンギュラリティに到達できなかったかもしれんのじゃ。

もしかしたら達成したのかもしれんが、後の世に気がつかれる事かもの。オーパーツと呼ばれての。

 

それは「そうか」と寂しさを飲み込み認めなくなくてはならんのじゃが、ひとつ救いがあるとするならば「ハッタリや嘘ではなく真摯な積み重ねが確かに存在した」という事じゃ。

進化を間違えてたとしてもの。